第1章:はじめに ─ 顧客との関係は“売った後”から始まる

かつてのビジネスでは、「商品やサービスを売ること」が最終目的であり、売上=成果という考え方が一般的でした。しかし現代では、モノが溢れ、情報も容易に手に入る時代になり、「ただ売るだけ」では顧客の心をつかむことが難しくなっています。
顧客の価値観は、「買って終わり」から「買ったあとも安心して任せられるか」「自分のことをちゃんと理解してくれているか」という“関係性重視”へと移り変わっています。
特に、サブスクリプション型サービスや高額商品、住宅・保険・教育・医療・リフォームといった長期的な信頼が前提となる業界では、「購入後の対応」こそが顧客の印象を決定づける要素になっているのです。
顧客は“体験”を評価している
現代の顧客は、製品そのもののスペックや価格だけでなく、次のような体験全体で企業を評価しています。
- 問い合わせ時の対応の丁寧さ
- 購入後にきちんとフォローしてくれるか
- トラブルがあった際の迅速さと誠実さ
- アフターサービスや定期的な案内の有無
- 自分のことを“お得意様”として大切にしてくれているか
これらはすべて「売った後の行動」であり、この部分こそが顧客ロイヤルティ(忠誠心)を生む決定的な場面なのです。
なぜ“売った後”がこれほど重要なのか?
理由は3つあります。
-
リピート率・LTVの向上に直結するから
一度買ってくれた人が再び選んでくれる確率は、新規顧客獲得の何倍も高く、コストも抑えられます。売った後の対応を丁寧にすることで、長期的な関係につながります。 -
紹介や口コミが生まれるから
「対応が良かった」「感じが良かった」「またお願いしたい」という印象は、自然と紹介やクチコミに繋がります。つまり、信頼の積み重ねが“次の顧客”を連れてくるのです。 -
選ばれる理由が“人”や“体験”に移っているから
同じような商品・サービスが並ぶ中で、最終的に選ばれるのは、「あの人から買いたい」「あの会社なら信頼できる」という感情的なつながり。それを生むのが「購入後の行動」です。
これからのビジネスは、「売ること」がゴールではなく、「売った後からがスタート」であるという前提で組み立てなければなりません。

第2章:顧客体験(CX)とは何か?その定義と重要性
顧客体験(Customer Experience/以下CX)とは、顧客があるブランドや企業と接するすべての接点において感じる「体験価値」のことを指します。これは単なる「接客」や「製品の使用感」だけにとどまらず、企業との関わりを通じて感じる一連の感情・印象・記憶すべてがCXを構成します。
たとえば、ある商品を購入する場合──
- ウェブサイトでの情報探し
- 店舗や営業との会話
- 購入時の手続きや支払いの流れ
- 納品やサービスの受け渡し
- 購入後の問い合わせやアフターサポート
- アンケートやフォロー連絡の有無
これらの一つひとつがCXであり、どこか一つでも不快・不親切と感じれば、その印象が全体の評価を下げてしまうこともあります。
なぜCXが重要なのか?
現代の顧客は、情報に敏感で選択肢も豊富です。同じような商品・価格帯の競合が存在するなかで、「最後の決め手」は“誰から買うか”“どんな体験ができるか”に移行しています。
つまり、製品・サービスの「質」だけでなく、「接し方」「対応」「気配り」といった“体験”が差別化のカギになっているのです。
「満足」では足りない時代
従来のビジネスでは「顧客満足度(CS)」が重要指標とされていましたが、これからは「顧客エンゲージメント」「感動体験(WOW体験)」のように、顧客との関係性の深さや持続性が重視される時代です。
顧客は、「まあまあ良かった」程度では他社へ簡単に乗り換えてしまいます。逆に、心を動かされる体験をした顧客は、
- 再び同じ企業を選び(リピート)
- 他人に薦め(紹介)
- SNSや口コミで拡散し
- 少々価格が高くても価値を感じてくれる
という行動をとってくれます。こうした「ファン顧客」の存在が、企業の安定成長を支える鍵となります。
LTV(顧客生涯価値)との関係
CXは、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化するための重要な要素でもあります。
LTVとは、一人の顧客が企業にもたらす利益の総額のこと。CXが良ければ、顧客は長期的に企業と関係を持ち、何度も購入してくれたり、紹介によって新たな顧客を連れてきてくれたりします。
- 顧客体験が優れている企業ほど、LTVが高くなりやすい
- CXへの投資は、中長期的に見ると高い費用対効果を発揮する
つまり、CXの強化は売上アップのためのコストではなく、“資産”への投資だと言えるのです。
顧客体験は“積み重ね”でできている
CXは一発勝負ではなく、あらゆるタッチポイントでの一貫性と継続性が大切です。
- 電話での声のトーン
- メール文面の言葉選び
- 現場スタッフの態度
- アフター連絡のタイミングや頻度
- 小さな気づかい(手書きメモや名指しの声かけ)
こうした日常の細かな行動が積み重なって、「この会社は信頼できる」というブランド体験を形作っていくのです。
第3章:エンゲージメントを高めるための3つの柱

顧客との信頼関係を深め、長期的なつながりを築いていく上で重要なのが「エンゲージメント」の強化です。エンゲージメントとは、顧客が企業やブランドに対して感じる“絆”や“信頼”のことであり、「またお願いしたい」「知人に紹介したい」と思ってもらえる土台になります。
ここでは、エンゲージメントを高めるために特に重要な3つの柱を紹介します。
1. 購入後のフォローアップ体制の整備
多くの企業が「売ったら終わり」になってしまいがちな中、購入後のフォローをしっかり行うことは、それだけで大きな差別化になります。
たとえば、
- 納品後3日以内に「その後いかがでしょうか?」と電話やLINEで確認する
- 商品使用後の満足度をアンケートでヒアリングする
- 小さなトラブルが起きた場合、すぐに対応して“迅速さ”を伝える
こうした「気にかけてくれている」「忘れられていない」という感覚が、顧客の安心と満足感を生み出し、自然とリピートや紹介につながります。
フォローアップは、難しい仕組みではなく、「人としての気づかい」をどう表現するか。だからこそ、システムやテンプレートの整備に加え、現場スタッフの感性や人柄が大きく影響します。
2. 継続的なコミュニケーション設計
人間関係と同じように、顧客との関係も「継続的な接点」があってこそ育まれます。売ったときだけ連絡があるような関係は、距離が縮まりません。
以下のような仕掛けが効果的です。
- 季節のあいさつやイベント案内(年賀状、暑中見舞い、キャンペーン情報)
- 定期ニュースレターやLINE公式アカウントでの情報発信
- InstagramやXなどのSNSで日常の活動やスタッフ紹介を発信
- 記念日のメール(購入日、誕生日など)
ポイントは、売り込みではなく「存在を自然に思い出してもらう」こと。関係が切れないように、軽やかに“つながっている感”を維持するのが理想です。
また、SNSは双方向のやりとりができるため、顧客との距離感をぐっと縮める強力なツールとなります。
3. 感情に寄り添う“人間的な接点”の重要性
どれだけ業務が効率化されても、最終的に信頼を築くのは人の温かさや誠意ある対応です。
- 顧客の言葉にしっかり耳を傾ける
- 問題や不満に共感し、誠意をもって対応する
- 相手の背景や想いをくみ取って言葉をかける
たとえば、クレーム対応ひとつとっても、事務的な謝罪よりも、「ご不便をおかけして申し訳ありません。お気持ち、私たちも痛いほどわかります。」という一言があるだけで、顧客の感情は大きく変わります。
これはAIや自動化では代替できない領域であり、“人間らしさ”こそが顧客との長期的な信頼関係を築く核となるのです。
総括
エンゲージメントは、単なるマーケティング戦略ではなく、「人と人との信頼関係」をどう築くかという本質的なテーマです。
- 売った後のひと手間
- 普段からの自然な接触
- 人間らしさのある応対
この3つを徹底することで、顧客は「ここに頼んでよかった」と感じ、長期的に関係を続けたいと思ってくれるようになります。
第4章:実践例に学ぶ!顧客との長期関係構築法

顧客とのエンゲージメントを高めるうえで重要なのは、「実際に現場でどう行動するか」です。理念だけでなく、日常業務の中に“信頼を深める仕組み”を組み込むことで、自然なかたちで長期的な関係が築かれます。
ここでは、成果を上げている企業が実際に取り組んでいる代表的な3つの実践例をご紹介します。
1. 定期点検・アフターサービスの導入
特に住宅やリフォーム、設備関係の業界では、施工後の点検や定期メンテナンスの機会を“関係性の再接点”として活用している企業が多くあります。
たとえば以下のような流れが実践されています。
- 工事完了後、3か月・6か月・1年といったスパンで定期点検の案内を送る
- 簡単な清掃・調整作業を通じて「気にかけている姿勢」を伝える
- 点検時に、住まいの変化や家族構成の変化などもヒアリングし、将来の提案へとつなげる
このように、“アフター対応の場”が信頼と次の売上を生む接点になるのです。
「売って終わり」ではなく、「売ってからが本当の始まり」という意識のもと、フォローを“業務”ではなく“信頼づくりの投資”と捉えている企業ほど、リピート率と紹介件数が高くなる傾向があります。
2. LINE公式アカウントやSNSの活用
現代の顧客は、企業と“気軽につながっていたい”と感じています。そのニーズに応える手段として、LINE公式アカウントやInstagramなどのSNS活用が注目されています。
- LINEで定期的に役立つ情報や季節のご挨拶を配信
- Instagramで施工事例やスタッフ紹介を投稿
- ストーリーズでのアンケートや質問箱で顧客の声を拾う
こうした発信により、企業と顧客の距離が縮まり、“気軽に相談できる相手”として認識されやすくなるのです。
また、SNSは「他の顧客との関係性」も可視化されるため、紹介や口コミが生まれやすい土壌にもなります。
定期的に目に触れることで、「また依頼しようかな」「誰かに紹介しようかな」という意識を自然に引き出す効果があります。
3. クレーム対応を「信頼強化の場」と捉える
多くの企業が避けがちなクレーム対応ですが、実はここにこそ“本当の信頼”を築く最大のチャンスがあります。
問題が発生したときに、以下のような対応を徹底している企業は、顧客満足度をむしろ高めています。
- 即時対応し、まずは謝罪よりも“状況の確認と寄り添い”を重視する
- 担当者が一貫して対応し、たらい回しにしない
- 改善策の提示と今後の防止策まで伝える
- フォローアップとして、数日後に再度「ご不便な点はありませんか」と連絡する
このような誠実な対応により、「この会社は信頼できる」「万が一があっても安心だ」と強く印象づけることができます。
顧客の中には「人はミスをするもの」と理解している人も多く、重要なのは“その後どう対応するか”にあるのです。
ピンチはチャンス。クレームの場面でこそ、他社との差が明確になります。
総括
顧客との関係は、売る瞬間ではなく、売った「その後」によって形づくられていきます。
- 点検やフォローアップは“信頼の積み重ね”
- SNSやLINEは“つながりの維持装置”
- クレーム対応は“信頼回復と強化の最大のチャンス”
このように、日常のコミュニケーションの中に「人としての姿勢」が込められているかどうかが、エンゲージメントの深さを決定づけるのです。
第5章:エンゲージメントを成果につなげるKPIとは?

顧客とのエンゲージメントを重視した取り組みは、たしかに長期的な企業価値を高めるものですが、それが具体的にどのように成果に結びついているのかが把握できなければ、社内での説得力や継続的な改善が難しくなります。
そこで重要になるのが、KPI(重要業績評価指標)の設定とトラッキングです。定性的な「感覚」だけでなく、数値として可視化することで、エンゲージメント施策の効果を明確にし、改善のサイクルを回すことが可能になります。
KPIとは何か?なぜ必要なのか?
KPIとは、最終的な目標(例:売上・利益・ブランド価値向上)に至るまでの“中間的な成果”を数値で評価するための指標です。
エンゲージメントは売上に直結するように見えない部分も多いため、間接的な指標を通じて可視化することがとても大切です。
たとえば「紹介が増えた」「クレームが減った」といった変化は、顧客との関係性が良好であることの表れであり、それをKPIで記録・分析することで、戦略の正しさが確認できます。
エンゲージメント測定に効果的な主なKPI
以下は、特に中小企業や店舗ビジネス、BtoCサービスでも活用しやすい具体的なKPI例です。
1. リピート購入率
同じ顧客が再び購入してくれる割合です。エンゲージメントが高まるほど、顧客は“他を探す手間を惜しみ、また同じ企業に頼る”傾向が強くなります。
- 月ごと・四半期ごとに再来店・再契約の割合を記録
- 初回購入者とリピーターの売上構成比を比較
2. アンケート回収率
フォローアンケートや満足度調査の回答率も、エンゲージメントの高さを測る指標になります。関心がなければ、そもそも回答してもらえません。
- サービス提供後にメールやLINEでアンケートリンクを送る
- 回答内容を定量・定性両面で分析して改善に活かす
3. 紹介数(紹介率)
顧客が家族・友人・知人を紹介してくれる回数は、「信頼されている」証拠です。
- 紹介で来店・契約した顧客数を記録
- 紹介した人・された人の購入率をセットで管理
- 紹介キャンペーンなどで促進してもOK(ただし“仕組み頼り”になりすぎないよう注意)
4. 定期フォローの返信率
LINE・メール・ニュースレターなどで定期的に発信している場合、その開封率・返信率・反応率を確認しましょう。
- 月ごとのメッセージ配信に対する開封率や既読数
- 個別返信の数や内容(特に「気にかけてくれてありがとう」といった声が多ければ◎)
5. サービス継続年数・利用期間
契約や利用がどのくらい継続しているかは、信頼と満足の積み重ねを示す最もシンプルな指標です。
- 顧客ごとの継続期間を定期集計
- 平均継続年数を業界平均と比較してみるのも効果的
6. 顧客満足度(CS)スコア
古典的な指標ですが、依然として有効です。「満足」「不満」「期待以上」など、簡易アンケート形式であっても、定期的にフィードバックを得る仕組みが重要です。
- 5段階評価や10点満点評価など形式は自由
- フォローアップで数値が改善されていく過程も可視化できる
KPIは“定点観測”が命
一度集計して終わりではなく、月次・四半期・年次などのサイクルで「定点観測」して、変化の兆しを読み取ることが重要です。
- なぜ今月はリピート率が下がったのか
- なぜ紹介件数が先月より増えたのか
- どのフォローが反応されやすいのか
といった分析を続けていくことで、エンゲージメント施策は“感覚の勝負”から“戦略的な運用”へと進化します。
社内で共有するための「見える化」もポイント
KPIを活かすには、スタッフ全員が“どの数字が今の課題なのか”を理解できるようにすることも大切です。
- 共有ボードに定期的にKPIを貼り出す
- 社内ミーティングでKPIをもとに顧客の声を共有する
- 成果が出ているスタッフの事例をKPIベースで称賛する
こうした“数字による文化づくり”が、エンゲージメント体質の強化につながります。
第6章:中小企業でもできる!“身近で継続可能”な工夫集

エンゲージメントの強化というと、「大企業しかできないような手間やコストがかかる施策では?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし実際には、中小企業や個人事業でも、工夫次第で顧客との信頼関係を強め、リピートや紹介を増やすことが可能です。
ここでは、すぐにでも始められる実践的な工夫を4つご紹介します。
1. フォローアップ用テンプレートの準備
フォローアップの品質を保ちつつ、担当者の負担を減らすには、あらかじめ定型文のテンプレートを用意しておくことが有効です。
たとえば、
- 納品3日後の「その後いかがですか?」の確認メール
- 一ヶ月後の「ご使用感はいかがでしょうか?」という軽い連絡
- クレーム対応後の「改善後の様子を確認させていただきたい」旨のご挨拶
など、あらゆる場面に使えるテンプレートを作っておけば、誰が対応しても一定の品質を保てるうえ、対応漏れや遅れも防げます。
テンプレートはそのまま使うのではなく、「一文だけ相手に合わせて手を加える」というルールにすることで、“機械的すぎない”適度な温度感を保つことができます。
2. 月に一度の“気づかい連絡”制度の導入
「ご無沙汰しております。最近いかがですか?」というたった一言でも、相手にとっては「忘れられていない」と感じられる大切な接点になります。
特に以下のような状況でこの連絡は効果的です。
- 購入からしばらく経っている
- 前回の点検・納品以降に間が空いている
- イベント・季節の変わり目(梅雨、年末年始、寒暖の差が大きい時期など)
定期的な“気づかい”は営業ではありません。売り込みをせず、あくまで「お客様のことを思い出していますよ」という姿勢が、自然な関係の維持につながります。
スタッフ間で共有カレンダーや「気づかいリスト」を作ることで、習慣化しやすくなります。
3. 記念日フォローや手書きハガキの送付
「誕生日」「契約記念日」「点検から1年」など、顧客との関係に“記念日”をつくることで、フォローのタイミングが自然に生まれます。
とくに印象的なのが、手書きの一言を添えたハガキやメッセージカードです。
- 「◯◯様、1年前の本日、工事を担当させていただきましたね。あれからいかがでしょうか?」
- 「暑い日が続きますので、お体ご自愛ください」
このような言葉は、SNSやメールにはない“温かみ”があり、顧客の心に残ります。
印刷+手書き一言でも十分効果があるため、無理のない範囲で取り入れることをおすすめします。
4. 紹介キャンペーンの設計
紹介を促す際は、「割引」「プレゼント」といった報酬だけでなく、“感謝の気持ち”や“信頼への敬意”をきちんと伝えることが重要です。
たとえば、
- 「大切な方をご紹介くださってありがとうございます」
- 「あなたのご紹介だからこそ、ご安心いただけると思います」
- 「信頼してくださったことを、私たちも誇りに思います」
このような言葉を添えることで、紹介された人も、紹介した人も“嬉しい気持ち”になれる設計になります。
紹介キャンペーンの仕組み自体はシンプルで構いませんが、紹介後のフォローアップや特別感の演出こそが、次の紹介を呼び込むポイントになります。
中小企業でも、むしろ“距離の近さ”を活かしたエンゲージメント戦略が大きな力になります。
- 型を決めて「誰でも同じ品質」を担保するテンプレート
- 無理なく継続できる「気づかい連絡」の習慣化
- 差別化につながる「手書き」のアナログ戦略
- 喜びの連鎖を生む「感謝を軸にした紹介設計」
どれもコストを抑えつつ、関係性を深める“人の工夫”による取り組みです。
第7章:まとめ ─「またお願いしたい」と思われる企業へ
これからの時代、企業が選ばれる理由は「価格」や「商品スペック」だけではありません。顧客が真に価値を感じるのは、「関係性そのもの」にあります。
つまり、「この人に頼みたい」「この会社と関わっていたい」と思ってもらえるような“体験”や“人間性”がブランドになる時代です。
顧客は「感情」で動く
マーケティングの世界では、よく「人は理屈ではなく感情で購買を決める」と言われます。たとえ同じようなサービスであっても、
- 自分の話をちゃんと聞いてくれた
- 小さなことでも覚えてくれていた
- 返信が早く、誠実だった
- 困った時にすぐ駆けつけてくれた
といった“あたたかい経験”は、顧客の記憶に深く残ります。
これは、どれほどAIが進化し、自動化が進んだとしても、決して代替できない“人の価値”です。
「またお願いしたい」と思わせる企業の共通点
エンゲージメントが高い企業には、いくつかの共通点があります。
-
顧客の感情や状況に寄り添っている
売ることではなく、顧客の立場で考え、丁寧に関わっている -
売ったあとも関係を大切にしている
アフターフォローや定期連絡で“忘れられていない感”を届けている -
スタッフの言葉や態度に一貫性がある
誰と接しても信頼できる“文化”が組織に根づいている
こうした姿勢の積み重ねが、「もう一度お願いしたい」という感情を引き出します。そしてそれは、単なるリピートを超えた“信頼の連鎖”を生み、紹介や口コミという無形資産にもつながります。
競争優位の鍵は「人としての姿勢」
どんなに時代が進んでも、顧客との関係の本質は変わりません。
- 相手の立場に立って行動できるか
- 丁寧な言葉と対応ができるか
- 面倒なことも「ありがとう」で終えられるか
こうした“人としての当たり前”を、継続的に、組織全体で実践できる企業こそが、真の強みを持つ時代です。
未来へ向けて:企業の成長=関係性の深さ
エンゲージメントは、単なる顧客管理やマーケティング手法ではなく、企業の成長と持続可能性を支える「土台」です。
売上や利益は、あくまでその“結果”にすぎません。
だからこそ今、目の前の一人ひとりの顧客と、丁寧に向き合うこと。感情に寄り添い、信頼を育てる行動を重ねていくこと。それが、10年先も選ばれる企業であり続ける唯一の道と言えるでしょう。
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